第30回日本外科感染症学会総会学術集会

第30回日本外科感染症学会総会学術集会

ご挨拶

北川雄光
第30回日本外科感染症学会総会学術集会 会長 北川 雄光
慶應義塾大学医学部外科学教室 教室主任
一般・消化器外科教授

この度、伝統ある日本外科感染症学会の第30回学術集会会長を仰せつかり、2017年11月29日(水)・30日(木)の2日間、京王プラザホテル新宿において開催させていただく運びとなりました。

日本外科感染症学会は1988年に発足した日本外科感染症研究会を母体として、2002年に学会となり、2017年の学術集会でその歩みは30年を迎えることとなります。大きな節目となる30回目の学術集会を本学で主催させていただくことは、この上ない栄誉であるとともに、その重責に身の引き締まる思いであります。

本学術集会のテーマは「チームで究める外科感染症の実学サイヤンス」といたしました。

サイヤンスというルビは、慶應義塾の創始者である福澤諭吉が、「実学」に振ったものです。実学は実社会、実生活に直接的に役立つ学問という解釈もあり、近代日本の創成期において福澤自身多くの実学を社会に導入しました。一方、実学の真に意味するところは実証的に真理を解明し問題を解決していく科学的な姿勢であり、既成概念や慣習を大きく変えていくことです。外科感染症学の歩みにおいて、ともすると根拠なく行われていた様々な慣習を本学会が中心となって科学的に検証し、実臨床の変化がもたらされてきました。30年の節目の年に、改めて学問の真理を検証し、真の実学を追究していきたいという思いからこのテーマを掲げさせていただきました。また、外科感染症学においては、医師のみならず職種横断的なチームでの対応の重要性がより一層求められるようになって参りました。チームで実証し、チームで実践する外科感染症学の発展が求められる中、本学術集会が、職種や領域を越えて多くの方の研究成果の有意義な発表の場になるよう鋭意準備を進めております。

第30回という節目の学術集会にあたり、本学会にこれまで多大なるご支援を下さいました日本感染症学会、日本環境感染学会、日本化学療法学会、日本手術医学会、日本集中治療医学会、日本救急医学会、日本口腔外科学会など多くの関連学会の皆様にご参画を頂いて、各種の合同セッションを企画いたしました。この点におきましても関連学会の「チームワーク」を発揮して参りたいと存じます。

また、30年の歴史を振り返り、未来を見据えるための記念式典、これまで本学会をリードしてくださった本学会理事長 炭山嘉伸先生の記念講演など多くの記念行事も予定しております。これまで本学会が培って参りました国際連携の成果として、第1回アジア太平洋外科感染症学会を創設し、防衛医科大学校病院 病院長 長谷和生先生が会長として開催して下さいます。

また、本学術集会では若手医師、医療従事者の皆様に積極的に活発なご発表、ご討議をして頂けるよう若手優秀演題の表彰など様々な工夫を凝らして参ります。

第30回の記念学術集会に相応しい実り多い学術集会となりますように最善を尽くす所存でございますのでご支援ご指導のほどよろしくお願い申し上げます。多くの皆様のご参加をお待ちしております。

2017年1月吉日