会長 小西 郁生 (独立行政法人国立病院機構 京都医療センター 院長) |
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副会長 宮野前 健 (独立行政法人国立病院機構 南京都病院 院長) |
みなさま、こんにちは!
第72回の総合医学会は、近畿グループがお世話することとなり、平成30年11月9日~10日、神戸国際展示場・国際会議場にて開催いたします。京都医療センターと南京都病院が中心となって準備を進めてまいりますが、みなさまのご意見を取り入れ、とても楽しい会にいたしますので是非ご期待ください。
さて今回、学会のメインテーマとして「多様性のなかに個が輝く -私たちの医療を推進します-」を掲げました。今まさに、医学・医療は一人ひとりの“多様性 diversity”を重視する世界へと大きく羽ばたこうとしています。1980年代から導入されたevidence-based medicine (EBM) は医療の世界に革命をもたらし、医療統計学に基づく「標準的医療」、すなわち平均的な患者さんを典型モデルとする標準的治療の確立がクローズアップされ、ランダム化比較試験が行われ、治療ガイドラインが出版され、均てん化が図られました。しかし、21世紀に入り、特にゲノム解析の進歩によって、患者さんには一人ひとり個性があること、同じ疾患であっても患者さんによってその病態がずいぶん異なることが明らかとなり、疾患の多様性に応じた「個別化医療」が注目されております。
一人ひとりの個性を大切にすることは、人間に真に優しい医療を展開しようとする現れでもあります。とりわけ、私たち国立病院機構の病院こそが、自ら「多様性」をもって人間の個性に丁寧に対応し、国のセーフテイネットとしての役割をいかんなく発揮してきました。そこで、本年の総合医学会は、この患者さんの「多様性」と私たちももつ「多様性」を前面に打ち出し、私たちの「個が輝く」医療の価値を再確認する場としたいと思います。疾患のゲノム多様性に対応する最先端医療はもちろんですが、一人ひとりの違いに対応した、手術、看護、ケア、指導、リハビリテーション、緩和医療、終末期ケア・・・。今まさに、私たちが目の前の患者さんに対して一生懸命行っていることを出し合い、活発に情報交換を行い、学ぶことのできる場を作ります。実際の診療を行っている現場の方々が生き生きと働いている姿、そして、患者さんが元気に社会復帰していく姿を浮き彫りにしたいと存じます。
特別講演ですが、「多様性」に通ずるテーマであり、かつ「京都の学問と文化の香り」が感じられるよう、お二人の著名な演者をお招きすることとしました。11月9日には、京都大学人類学教授の中川尚史先生に「サルの行動から人類の起源と進化を語る」、10日には華道池坊の第4代池坊専好先生に「いのちをいかす いけばなの美と心 」を熱く語っていただきます。楽しみですね! また、学術プログラムでは、「救急医療の推進とキャリア形成」「がん個別化医療の新たな展開」「女性ヘルスケアのさらなる向上」「セーフテイネットの障害児(者)支援」「高齢者医療と在宅ケアのこれから」の5つの主要テーマについて、基調講演と公募シンポジウムを開催いたします。もちろん、これ以外にも多様なシンポジウムを準備いたします。懇親会では、伏見の銘酒をお楽しみいただき、また各病院からの出し物を募集したいと思っています。
みなさまの多数のご参加をお待ちいたしております。どうぞよろしくお願いいたします。