会長挨拶

下川 宏明
東北大学大学院医学系研究科 循環器内科学

 この度、2016年3月18日(金)から20日(日)までの3日間、仙台市にて第80回日本循環器学会学術集会を開催させていただくことを大変光栄に存じます。この節目となる第80回目の学術集会の開催の機会を与えていただいた日本循環器学会の理事会および学会関係者の皆様に心から感謝申し上げます。また、東日本大震災から5周年の節目にも当たり、二重の節目の意味で意義が大きいと考えております。このため、学術集会のテーマを、「日本の循環器病学の過去・現在・未来 ―東日本大震災復興5周年―」とさせていただきました。

 日本循環器学会は、米国のAmerican Heart Association(AHA)・American College of Cardiology(ACC)とヨーロッパのEuropean Society of Cardiology(ESC)と並ぶ循環器領域の学会として大きく発展してきており、文字通り、世界の3極の一角をなす学会となりました。会員数も約2万6,000名にまで増え、毎年開催する学術集会も参加者が約2万名前後にまで増え、わが国最大の学術集会の一つとなってきました。海外からの参加者が増えてきていることも嬉しい傾向です。私は、私の恩師である故竹下彰先生が2002年に福岡で開催された第67回学術集会を事務局長として担当しましたが、当時の学会の会員数が約2万名、学術集会参加者数が1万3,763名であったことを考えますと、この13年間での本学会や学術集会の発展がよく理解されます。

 今回の学術集会では、日循学術集会80回目の節目であることを念頭に置いていろいろな企画を組みました。学術集会プログラム委員会のご協力を得て、プレナリーセッションやシンポジウムの特別企画の中に、日循100年を見据えて、今後20年のわが国や世界の循環器病学を展望する企画を数多く盛り込んでいます。また、会長企画でも取り上げます。さらに、東日本大震災復興5周年であることも念頭に置いて、東北地域(特に宮城県・岩手県・福島県の被災3県)の大学病院・地域の基幹病院・医師会・医療行政等の災害医療への貢献や復興に向けた活動に関するパネル展示を企画している他、日循のガイドラインの作成や今後の減災に向けた取組み等についてもご紹介します。

 会長特別企画(全18セッション)では、日循80年の歩みを振り返り、世界の循環器病学への日本の貢献や歴代理事長による本学会の歩みを皆様と再認識するセッション「日本が誇る循環器研究」「日本循環器学会80年の歩み ―先達からのメッセージ―」、さらに、世界のトップジャーナルから編集長を招いた「Editors-in-Chief of the Top Medical Journals」、欧州にフォーカスした「The Year in Cardiology –the EHJ Perspective」などを企画しています。また、教育的な観点から、「日米の医学教育を考える」「3日でマスターする医学統計入門」なども企画しています。

 海外の著名な研究者による「美甘レクチャー」は、私の恩師である香港大学のPaul M. Vanhoutte先生に「Regenerate to be old」というタイトルでご講演をいただきます。わが国を代表する研究者による「真下記念講演」は、東北大学医化学分野教授でわが国の3大ゲノムバンクの一つである東北メディカルメガバンク機構長の山本雅之先生に酸化的ストレス応答についてお話しいただきます。

 その他、特別講演(18講演)、プレナリーセッション(11セッション)、シンポジウム(28セッション)、海外の学会とは、AHA・ACC・ESC・CSC他、アジア各国とのジョイントシンポジウム(7セッション)、ラウンドテーブルディスカッション(11セッション)、トピック(8セッション)、コントロバーシー(6セッション)、ミート・ザ・エキスパート(10 セッション)、モーニングレクチャー(29セッション)などを企画しております。

 一般演題には3,818題の応募があり、そのうち2,308題を採用し、採択率は60.5%でした。さらにLate-breaking Sessionsには、65題の応募をいただき、36題を採用し、採択率は55%となりました。チーム医療セッションは、シンポジウム公募に13題の応募があり、10題を採択しました。一般演題には352題の応募があり、310題を採択し、チーム医療セッション全体では87.7%の採択率となりました。特別企画・会長特別企画・一般演題・Late-breaking Sessions等、全ての企画を合わせて、合計3,294演題の発表に対して合計815名の皆様に座長をお引き受けいただき、心から感謝申し上げます。

 会場は、2015年4月にオープンした展示場のある仙台国際センターを主会場に、東北大学百周年記念会館、仙台市民会館に加えて、新設された仙台市の展示場を使用します。この新展示場は、仙台市が東日本大震災からの復興のシンボルの一つとして仙台国際センターの隣に新しく建設したものです(延床面積6,057㎡)。したがって、青葉山山麓の広瀬川を囲む自然豊かな環境で学術集会を開催することができます。また、仙台の市街地を東西につなぐ地下鉄東西線が2015年12月6日に開業し、国際センター駅もオープンしました。その国際センター駅の北側の広い駐車場スペースを今回はポスター会場・機器展示会場として使用します。仙台市としても、新展示場と地下鉄東西線開業がセットになった初の大規模な開催になり、本学術集会への期待も非常に大きいところです。

 学術集会のポスターは、地球(日本)を中心に据えて、光の帯で時間の経過を示し、日本の循環器病学の過去・現在・未来を表現しました。

 第80回学術集会が、日本の循環器病学のこれまでの歩みを振り返り、将来を展望する良い機会になることを願っております。多くの皆様のご参加を心よりお願い申し上げます。

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