第29回日本神経免疫学会学術集会

会長挨拶

院長:菊池誠志 第29回日本神経免疫学会学術集会会長
菊地 誠志(国立病院機構北海道医療センター)

この度、第29回日本神経免疫学会学術集会を、2017年10月6日(金)、7日(土)の両日、札幌で開催させていただくことになりました。北海道では初めての開催となります。北海道開拓が本格化して150年目です。札幌市中心部大通公園に面した札幌市教育文化会館を会場として、全国から多数の方々のご参加をお待ちしています。

日本における神経免疫学の組織的研究は、重症筋無力症、多発性硬化症に関する厚生省班会議に始まりました。その後班会議は免疫性神経疾患班会議に統合されました。班会議では、重症筋無力症、多発性硬化症、HTLV-1関連脊髄症、自己免疫性末梢神経障害、炎症性筋炎、自己免疫介在性脳炎など広範囲にわたる神経免疫疾患の研究発表が行われてきました。

日本神経免疫学会の源流は、上記厚生省班会議に併せて開催されていた研究会に端を発し、1988年に第1回学術集会が開催され、以後、めざましい発展を遂げてきました。

2015年、難病法が施行されました。指定難病には、免疫性神経疾患が多数含まれております。新たな難病医療の提供には、患者QOL向上の視点を重視したガイドラインが必要とされます。現在まで、本学会が中心となっていくつものガイドラインが作成され、また、作成中であります。しかし、一方では、多くのガイドラインの作成過程で、利用できる日本人のデータが極めて限られているという現状が指摘されています。日本人での大規模な研究が必要とされるところであり、研究者の多数の参加によるコンソーシアム結成が必須とされています。

日本神経免疫学会学術集会は、臨床医や神経免疫学研究者のみならず、関連学術分野、関連職種、関連企業の方々との意見交換の場としてまたとない機会です。コンピュータサイエンスと実験機器の発達は、神経免疫学においても工学分野・情報科学分野の研究者の参加を必要としています。また、小児慢性特定疾病が難病に加わりましたので、小児神経学からの視点も重要です。

第29回学術集会のテーマは、「未来へつなぐ神経免疫学の系譜~Emerging Themes in Neuroimmunology」です。

神経免疫学は、どこまで到達したか? さらなる発展の方向を見据えて、今眼前にある課題はなにか?を問う機会にしたいと思います。

学会日程に続き、8日(日)、9日(月祝)が休日となります。学会終了後には、是非、秋の北海道を目と舌で堪能していただけると思います。

10月はじめの札幌は、抜けるような青空とすがすがしい空気、色づき始める木々など、長い冬を前に、最も魅力的な季節です。秋の恵みは、田、畑、野、山、川、海から一斉にもたらされ、参加されるみなさまを満足させること、間違いありません。