会長挨拶

「予防と治療の包括的心臓リハビリテーション」

第23回日本心臓リハビリテーション学会学術集会を2017年7月15日、16日の2日間、長良川国際会議場、岐阜都ホテル、ぎふ清流文化プラザ、岐阜メモリアルセンター(で愛ドーム)において開催させていただきます。わが国は世界一の高齢化社会を向かえ、循環器疾患は増加の一途をたどっています。それに伴って、循環器疾患に対する対策としての「心臓リハビリテーション」の重要性は益々高まってきている中、本学術集会を開催させていただくことを光栄に思っております。

今回の学術集会では「予防と治療の包括的心臓リハビリテーション」というテーマを掲げさせていただきました。心臓リハビリテーションは、循環器疾患に対して、初発・再発予防、治療、早期退院、社会復帰などを目的としているため、単なる運動療法だけではなく、高血圧、脂質異常症、糖尿病など心臓病に対する危険因子に対する薬物治療、食事療法、栄養管理、生活指導、心理学的アプローチなど、さらに、心機能が極端に低下している患者に対しては、失われた心臓の機能を取り戻すという視点からの再生医療の取り組みなども含まれると考えられます。また、急速な高齢化社会を迎えた結果として増加している要介護者数を減らす効果のあるフレイル、サルコぺニアに対する心臓リハビリテーションの対策も、失われた身体機能を回復するための取り組みです。このように、心臓リハビリテーションに対する考え方としては、様々な職種の人々が協力し合って、様々な取り組みを包括的に行うことによってはじめて循環器疾患に対する予防と治療の効果を上げることが出来ると考えられます。

この学術集会では、基礎研究、臨床研究の発表および症例報告など最新知見の勉強の場として、基礎から臨床までの幅広い領域の多職種のエクスパートが集い、「予防と治療の包括的心臓リハビリテーション」に関して有意義な議論を行っていただく場にしたいと思っております。プログラムとしては、国内の演者による特別講演、シンポジウム、パネルディスカッション、ワークショップ、教育講演、市民公開講座、さらには、海外からの講師を交えた国際交流委員会による国際セッション、海外特別招聘講演も予定しております。自然豊かな岐阜の地で開催されます第23回日本心臓リハビリテーション学会に、多くの皆様のご参加を賜りますようお願い申し上げます。


第23回日本心臓リハビリテーション学会会長
湊口信也
岐阜大学医学部循環器内科教授