第72回日本大腸肛門病学会学術集会

倫理的事項の申請

会員各位

時下ますますご清祥のことと、お慶び申し上げます。

さて日本大腸肛門病学会では、2015年4月より「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」が施行されたことに伴い、本学会学術集会へ応募される演題については、本指針に基づき、とくに「介入や侵襲を伴う研究(軽微な侵襲は除く)」につきましては、各機関等における倫理審査委員会や治験審査委員会の承認を得て行われた研究であることが必須になります。

「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」において“介入”とは、研究目的で、人の健康に関する様々な事象に影響を与える要因(健康の保持増進につながる行動及び医療における傷病の予防、診断又は治療のための投薬、検査等を含む)の有無又は程度を制御する行為(通常の診療を超える医療行為であって、研究目的で実施するものを含む)。“侵襲”とは、研究目的で行われる、穿刺、切開、薬物投与、放射線照射、心的外傷に触れる質問等によって、研究対象者の身体又は精神に傷害又は負担が生じることと定義されています。

「介入の有無は問わず軽微な侵襲の研究」および「介入や侵襲を伴わない研究」についても、症例報告などを除き、倫理審査委員会の承認を得ている必要があります。しかし倫理審査委員会を持たない施設からの演題応募が少なくない本学会の特徴を考慮し、申告は必要ですが、当面演題登録は可能にいたします。

研究の実施や演題発表にあたっては、「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」、「症例報告を含む医学論文及び学会研究会発表における患者プライバシー保護に関する指針」、「患者の病理検体(生検・細胞診・手術標本)の取扱い指針」、「研究機関等における動物実験等の実施に関する基本指針」を遵守するようお願いいたします。なお「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」については、各規定の解釈や具体的な手続の留意点等を説明した「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針 ガイダンス」が公表されておりますので、ご参照ください。

以下に、「介入や侵襲を伴う研究」、「軽微な侵襲を伴う研究」、「介入や侵襲を伴わない研究」の具体例を提示します。演題登録時に倫理的事項の申請を行う際に、ご参照ください。

①「介入や侵襲を伴う研究」の具体例
例1
腸閉塞を伴う進行直腸癌に対して、全例で経肛門的イレウス管挿入またはステント留置による減圧術を行った後に根治手術を行い、その有効性や安全性、予後を、過去に減圧術を行わずに手術した症例と比較する。
例2
初発の重症潰瘍性大腸炎に対して、ステロイド大量静注療法を行う際に、血球成分除去療法を併用する群と併用しない群の、いずれかに無作為に割付する。治療1週後に大腸内視鏡検査を行い、腸管病変の改善効果を比較する。
②「軽微な侵襲を伴う研究」の具体例
例3
大腸T1(SM)癌の内視鏡的摘除例に対して、定期受診の際に、研究目的で新たな腫瘍マーカーの採血(5ml)を全例に行い、術後再発の診断における有効性を評価する。
例4
難治性痔瘻に対してシートン法を行ったクローン病に、研究目的で治療後全例に骨盤部の単純MRI検査を行い、シートン法の治療効果を評価する。
③「介入や侵襲を伴わない研究」の具体例
例5
過去5年間に大腸腫瘍に対して内視鏡的粘膜下層剥離術を行った症例を対象に、術後の偶発症の発生頻度を、病変部位や腫瘍の大きさ別に比較する。
例6
クローン病に合併した腹腔内膿瘍に対して、同時期に腹部超音波検査と腹部CT検査を行った症例を対象に、両検査法の診断能を比較する。

(参考資料)

  1. 「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」(厚生労働省)
    http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hokabunya/kenkyujigyou/i-kenkyu/#HID1_mid1
  2. 「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針 ガイダンス」(文部科学省、厚生労働省)
    http://www.lifescience.mext.go.jp/files/pdf/n1500_02.pdf
  3. 「症例報告を含む医学論文及び学会研究会発表における患者プライバシー保護に関する指針」(日本外科学会)
    https://www.jssoc.or.jp/other/info/privacy.html
  4. 「患者の病理検体(生検・細胞診・手術標本)の取扱い指針」(日本病理学会)
    http://pathology.or.jp/jigyou/shishin/guideline-090114.html
  5. 「研究機関等における動物実験等の実施に関する基本指針」(文部科学省)
    http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/06060904.htm
  6. 一般社団法人日本大腸肛門病学会
    倫理問題検討委員会

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