Tonia M. Young-Fadok | (Mayo Clinic College of Medicine, USA) |
---|---|
Alfred Allen E. Buenafe | (Batangas Regional Hospital, Philippines) |
George Whitfield Holcomb III | (Children's Mercy Hospital, USA) |
Khurshid A. Guru | (Roswell Park Cancer Institute, USA) |
---|---|
Franca Melfi | (University of Pisa, Italy) |
Michael Patrick Achiam | (Copenhagen University Hospital, Denmark) |
Monish Aron | (Norris Healthcare Center, USA) |
Nicholas O'Rourke | (The Wesley Hospital, Australia) |
Laurent Fourcade | (Centre hospitalier universitaire à Limoges, France) |
Michael Li | (Hong Kong Sanatorium & Hospital, Hong Kong) |
Davide Lomanto | (Minimally Invasive Surgical Centre (MISC), Singapore) |
Jang-Ming Lee | (National Taiwan University Hospital and College of Medicine, Taiwan) |
Sookwhan Sung | (The Catholic University of Korea, Korea) |
Woong Youn Chung | (Younsei University College of Medicine, Korea) |
Son N. Tran | (Saint Paul Hospital, Vietnam) |
Hiroto Kitahara | (University of Chicago, USA) |
内視鏡外科手術は着実にその役割を広げ、多くの外科手術に取り入れられてきた。最初から今日のような確固たる地位が得られていたわけではない。これらを切り開いたパイオニア達の苦労や、これからの若い医師へ伝える提言を楽しいト-ク形式で語っていただきたい。
知的な情報処理システムの実現は、社会に様々な影響を与えている。AIと相性が良いといわれている医療分野では、今後益々その傾向が大きくなる。診断以外の内視鏡外科領域でも研究が加速している。本企画では、実現できている新技術と完成が近い技術を、基礎的な分野から臨床での応用まで幅広く紹介いただく。またロボット支援機器の国産開発も進み臨床に登場する日も近いとされている。現在のロボット手術分野での現況を紹介いただくとともに、求められる機能などを明らかにしていただきたい。
日本の保険医療財政全体から見て、内視鏡外科が財政で占める割合、費用対効果の観点から、その他の診療科と比べてどのような位置づけになるのか(保険医療財政における内視鏡外科の存在を考えるー医費用対効果からみて)討議したい。また、国民目線からみて低疼痛・早期社会復帰実現で内視鏡外科は治療法として支持されているが、独りよがりなのかについても大局的見地から議論をおこなう。
「知的財産権?私には関係ない。」と思っていませんか?内視鏡外科手術の周りでは、ロボット、エネルギーデバイス、ステープラーなど多くの知的財産権の詰まった医療機器が使われています。人工知能の導入、データの5G通信とIoTによる遠隔医療などに関連した装置やアプリなども「医療機器」となる時代がきており、臨床の最前線の医療での「経験や工夫、そこから着想された研究アイデア」などは、大切な財産となる可能性を秘めています。このセッションは、ものづくり中小企業での医療機器開発支援、医療と医学研究の促進、知財訴訟などの法律実務、User Innovation、日米の特許流通の現状、など多角な視点から知的財産権を捉え、皆さんのなかに眠る「貴重な経験と知恵」という財産を昇華させて後世に役に立てる方法を初歩から学んでいただく企画です。どうしたら「こうしたらいいんじゃないか!」というアイデアが知的財産権にできるのかを具体的に学んでいただきます。
内視鏡外科手術は、多くの機器の使用や体位、偶発症への対処など注意する要点が多く、チームの協働は不可欠である。各施設においていろいろな取り組みが行われているが、各職種の役割の変化や業務が拡大する中で課題も多い。そこで、この特別企画においては、関係学会の合同セッションとして、各職種を代表する学会より、各々の立場からチームの中での役割と問題点につき意見を述べていただき、より良い内視鏡外科チームのあり方について検討したい。
内視鏡外科手術は、基本手技を習得した後に、個々の技量に合わせて徐々に修練していくことが大切である。これらに配慮しエキスパートによる手技を解説いただきながら、中級レベルまで網羅した上達が早くできる内視鏡外科手術ポイントをビデオで学んでいただきたい。
内視鏡手術では、従来の開腹、開胸手術と異なった拡大視により局所の外科解剖の理解が進み、微細な構造物や解剖学的ランドマークが認識されてきた。これらを把握することは、さらなる内視鏡手術手技の向上につながる。このセッションは、高画質を駆使した微細な解剖の認識を深め、技量上達に役立てていただきたい。
安全な医療の普及には、初歩的な手術から高度な手術まで、誰もが手技に精通できる環境が必要である。2012年にガイドラインが公表され、国内での実施が可能となった献体を用いた手術手技研修(カダバートレーニング)は、厚生労働省が基盤整備のための予算を充てていることもあり、内視鏡手術領域でも大きな発展が期待されている。本シンポジウムでは基調講演として、厚生労働省担当官より経緯やビジョンをお話いただき、現在、各分野でカダバートレーニングを行っている施設を中心に現状や問題点を大いに語っていただく予定である。さらにロボット手術などの新しい術式への発展性や新規の医療機器開発における将来性についても討議いただく。
ロボット支援手術の保険診療が2018年4月に、前立腺や腎に続いて12領域で承認されたことを受けて、各診療科で本格的な取り組みが始まっている。ロボット支援手術の手術手技や施設条件、指導経験などは、それぞれの領域で異なると考えられるが、互いに共通性や特性を学びあい役立てていくことが重要である。各領域におけるup to dateなロボット支援手術の現状を把握しておくための発表を期待したい。
本邦においてこの30年間、様々な領域で内視鏡外科手術が大きく普及し進化を遂げてきた。安全性の確保と教育の確立は、領域を越えた共通の重要なテーマであるが、一方で、領域ごとに異なる課題があるものと思われる。本セッションでは、各領域における内視鏡外科の安全な普及と教育についての課題とそれを克服するための取り組みを発表いただき、領域間での理解を深めていただきたい。
内視鏡手術は術野確保のためにCO2送気や体位固定など従来の開胸開腹手術にはない看護や管理が必要で、安全管理体制の立ち遅れが指摘されてきた。多くの新規機器や新しい手技の導入に病院主導の安全管理体制の確立が提言され、チーム医療としての周術期管理、機器の保守管理やその情報共有、次世代への内視鏡手術の教育、研修は益々重要になっている。担当医師、麻酔医、看護師、臨床工学技士、事務系スタッフなど手術部門には多職種の人員が配置され、職種間の業務の見直しにより効率的なチーム内の役割分担が求められている。さらに臨床工学技士にはスペシャリストとして保守点検管理の教育や研修、メーカーとの橋渡しなど重要な役割が期待されている。内視鏡手術を安全に確実にサポートするための病院の管理体制やチームづくり、次世代への人材育成・教育について、各施設の現状、その課題と対策を論じていただきたい。
ロボット支援手術は2012年4月に前立腺摘除術が、2016年4月には腎部分切除術が保険収載された。泌尿器科領域ではロボット支援手術の安全な導入・普及のためにガイドラインを策定し、プロクター認定制度を制定した。大きな問題なく実施され普及している。他の術式は限られた施設で導入され、まだ十分には普及していない。そのような状況下、2018年4月から食道癌、胃癌、直腸癌、縦隔腫瘍、肺癌、心臓弁膜症、膀胱癌、子宮体癌など多くの疾患に対してロボット支援手術が保険収載された。今後、急速に導入されることが予想されるが、安全性を第一に考慮する必要がある。本シンポジウムでは、安全な導入・普及に向けた各領域におけるロボット支援手術の教育・指導体制の取り組みについてディスカッションする予定である。
近年の急速な技術革新により3D内視鏡システムの精度向上が進み、飛躍的に解像度や色再現性が向上している。3Dシステムは対象臓器の立体視効果と直感的な奥行き感を可能とするため、緻密な手術手技の精度や安全性の向上に役立つ重要なツールとして普及してきている。本セッションでは、最新の3Dシステムの視野で展開される手術手技とその恩恵をVideoでご発表いただき、3D環境下の手術のさらなる発展のために何が必要か、領域を超えて議論していただきたい。
平成30年度の診療報酬改定でICG蛍光法の適応が乳癌のセンチネルリンパ節生検、冠動脈血行再建術血流評価、手術における消化管血流評価にも拡大された。臨床試験としてICG蛍光は、乳癌以外でもセンチネルリンパ節生検や術中の腫瘍同定に用いられている。これら内視鏡手術領域において使用されているICGを含めた様々な蛍光法の有用性と課題、さらに将来展望などを紹介いただきたい。
人口の高齢化と内視鏡外科手術手技の進歩に伴い、手術既往を有する症例に対する手術や術後再発に対する再切除術、また術後合併症に対するリカバリー手術などへの腹腔鏡手術の適用例が増加している。しかし、再手術症例においては腹腔内の癒着や解剖の違いなど初回手術例では経験しないようなピットフォールがあり、特有の合併症対策を講じる必要がある。本セッションでは各領域における腹腔鏡下手術による再手術へのチャレンジと、そのピットフォールや手技の工夫を提示していただき、安全に再手術を施行する上での課題を述べていただきたい。
平成30年の診療報酬改定を機に心臓外科分野においても内視鏡外科の本格的導入が始まった。心臓外科では、歴史的には胸腔鏡下もしくは胸腔鏡補助下の僧帽弁形成が重要な役割を果たしており、どちらかというとロボット支援手術はまだ低調であった。しかし、今後の機器開発、普及教育などによりロボット支援手術が果たす役割が大きくなることが期待される。心臓外科分野の内視鏡外科の二つの柱である胸腔鏡下心臓手術とロボット支援手術の将来の使い分けについて、手術の側面以外に、コスト、導入、運用、チーム作りなど、総合的な長所短所や将来性についてディベートし将来を展望する。
甲状腺内視鏡手術は2016年4月の保険改正で良性疾患に限り保険収載が認められていましたが、本年4月には悪性腫瘍に関しても保険収載が認められたことで、国内では甲状腺内視鏡手術が全面的に保健医療として認められたことになります。既に内視鏡甲状腺手術を多く導入している施設から今後の術式の発展に向けて、手術適応、術式の工夫、問題点などを含めた現状と今後について討論いただきたい。
また今回のシンポジウム内では、6000例を超えるロボット支援下甲状腺手術の経験を持つ延世大学(韓国)、Chung教授より先進的なロボット手術についてKeynote lectureとして講演いただきます。
本年より、肺悪性疾患に対するロボット支援下肺葉切除が保険診療として認められた。今後は、国内でも普及すると考えられる。これまで実施してきた施設の成績を発表いただくとともに、取り組みを始める施設からも問題点などを発表いただきたい。海外より、この分野で早くから豊富な経験を有するFranca Melfi先生(University of Pisa)に講演やコメントをいただく予定である。
内視鏡下胃切除における合併症には、主に、血管損傷による出血、リンパ節廓清における膵液漏、吻合における縫合不全、術後吻合部出血などがあげられるが、これらを減らすことで大幅な在院日数の減少などが望める。本セッションでは各施設が築き上げてきた合併症を減らすための工夫について述べていただきたい。
食道胃接合部癌は増加していると考えられているが、いまだ定型的治療戦略は確立されていない。径4cmまでの腫瘍に対するリンパ節郭清範囲の暫定的アルゴリズムは示されているが、食道や胃の切除範囲、再建方法、またアプローチなどは各施設や担当医に委ねられているのが現状であろう。本年4月の保険改定で、この領域におけるロボット使用が認められたが、どのように活用すべきかはこれからの課題であり、術前化学療法の位置づけなどの集学的治療もまだ確立されていない。本シンポジウムでは、内視鏡手術(ロボットも含む)を中心にすえた各施設の治療戦略の取り組みを紹介していただき、その長所や課題を論じていただきたい。
今世紀初頭に本邦でも腹腔鏡下肥満外科治療が始まってから、2014年には腹腔鏡下スリーブ状胃切除術が保険適応となり日本でも肥満外科治療の大きな転換期を迎えた。欧米では上部消化管手術の代表的なものはこの肥満外科手術であり、日本国内と海外との差はまだまだ大きいのが現状である。2018年には腹腔鏡下スリーブバイパス術が先進医療として認可されたが、まだ同術式を施行している施設は多くはない。また本年から腹腔鏡下スリーブ状胃切除術の保険施設基準が緩和されたことにより、より多くの施設での導入が予想される。日本における現状を検証し、新たに導入する施設での注意点、および今後に向けての展望とあるべき姿を検討する。
直腸癌の治療成績向上のために、根治手術の術前治療を行う施設も増えてきた。欧米での標準治療である術前化学放射線治療は局所再発を減少させる一方、生存率の向上についてはいまだ議論の余地がある。一方わが国では側方リンパ節郭清による局所再発制御がガイドラインに示されている。このセッションでは、どのような症例に、どのような術前治療を行うことによって、局所再発あるいは遠隔転移再発を減少させることができるのか、また腹腔鏡下直腸切除の際にどのような有利な点が得られるのか、などについて成績とともに手技についても提示していただきたい。
近年、骨盤外科領域にロボット支援手術の導入が進んでいる。解剖に則った手術は、骨盤内手術において、機能温存と根治性の両立を図るうえで、極めて重要なことであるが、内視鏡手術の拡大視効果によって、骨盤深部のより詳細な解剖が分かるようになってきた。アプローチによって解剖が変わることはないが、骨盤深部操作の長けているロボットを使うことで、より解剖に則った手術が可能になる。このセッションでは、ロボット支援手術における正しい解剖の理解とそれに則った手術手技について詳細に解説していただきたい。
ここ数年の腹腔鏡下肝切除の急速な発展を支える高難度肝切除の定型化、術式やテクニックの工夫、デバイスやその使用法の進歩について披露していただきたい。広範囲なテーマを受け付けるが、発表にあたっては焦点を絞り、新しい部分を明確にしていただきたい。
2016年度の改定で腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術、リンパ節郭清を伴う腹腔鏡下膵体尾部切除術が保険収載されたが、各々、リンパ節郭清を伴わない症例、他臓器合併切除を伴わない症例との制約が附記されている。認可より2年が経過した現時点での各施設における両術式に関する術者と症例選択基準、技術的な工夫、定型化された手順、成績等について発表していただき、現状の適用範囲での安全な導入に必要な知識を共有したい。また、今後の適応拡大やロボット手術等新たな展開に向けた課題についても討議いただきたい。
現在、婦人科領域では子宮頸がんに先進医療の腹腔鏡手術と先進医療のロボット手術があり、子宮体癌には保険収載の腹腔鏡手術と広範囲・高難度の手術先進医療の腹腔鏡手術がありますが、4月から子宮頸がんとロボット体癌手術が保険収載されます。よって、婦人科分野のこれら内視鏡下手術のアップデートをしておくのは非常に重要です。これらについて討議いただきたい。
前立腺癌に対する治療は、癌の制御のみならず可及的に機能を温存して、術後の生活の質(QOL)を改善させることも重要視されている。特に根治的前立腺全摘除術後に発症する尿失禁や性機能障害は、患者のQOLを著しく低下させる合併症であり、術後QOL改善を目指して様々な術式の工夫が試みられている。近年登場した手術支援ロボットは、組織や膜の微細構造の視認性に優れることに加え、正確で繊細な操作が可能となり、従来手術よりも質の高い手術を行うことが可能になった。すなわち、手術用ロボットの利点を生かせば、従来の開放手術や腹腔鏡手術と比較して、術後QOL保持に重要な解剖学的構造の“温存”、“再建”、“補強”手技が比較的容易であり、良好な成績が期待できる。本シンポジウムでは、ロボット支援前立腺全摘除術の術式の工夫と治療成績について討論し、QOL改善を目指した標準術式を模索したい。
脊椎内視鏡手術は進入経路の組織障害を最小限にとどめ、神経要素の周囲環境を整備するという合目的な観血的手法である。昨今の光学機器の進歩、最小化の実現にともなって、さらにその侵襲は低減している。一方、それぞれの手技は高度化しており、その手術手技習得にいたるlearning curveはさらに険しくなっており、実際の手術施行には、各分野にけるエキスパートの先生方による教育が必須になる。今回、各手術手技のエキスパートの先生方にご登壇いただき、安全に該当手技を施行するためのポイントなどを解説していただく。
下部消化管、婦人科、泌尿器科の3診療科横断的なセッション。
同じ「骨盤腔領域」を扱う各診療科のエキスパートより、それぞれの分野における「機能温存」という観点で、重要となる解剖理解・手技の工夫・ピットフォール対策等について臨床ビデオを用いた講演を予定。
近年、気管支や血管の切除再建を伴う様な高難度手術に対しても積極的に胸腔鏡手術で取り組む施設が増えてきた。高難度の胸腔鏡下手術においては、手術を遂行するために様々な工夫が必要となる。本セッションでは、気管支や血管再建をはじめ、様々な高難度胸腔鏡下手術手技を呈示いただき、その工夫について熱く議論していただきたい。
頭頸部領域における内視鏡手術としては、VANSに代表される内視鏡下甲状腺切除術やTORSに代表されるロボット支援下経口的手術が挙げられる。前者はこの4月に悪性疾患に対しても保険収載が認められ、後者は薬事承認に向けた先進医療が終了している。積極的にこれらの手術を導入している施設から現状と今後の展望を論じていただきたい。
肺癌手術では、手術アプローチを問わず必要十分な肺門・縦隔のリンパ節郭清が行われなければならない。安全で質の高いリンパ節郭清のための、胸腔鏡手術の利点を活かした視野展開、器具選択・操作の工夫など、郭清部位に応じて討論いただきたい。
胸部食道癌に対する胸腔鏡下食道切除術は手技の定型化と縦隔微細解剖の解明により、最近では臓器鞘、血管鞘を意識した剥離層、また食道間膜の概念が提唱されている。一方で縦隔リンパ組織の発生については明らかでない点もあり、縦隔各部位におけるlymphatic chainを意識した至適剥離層は定まっていない。本セッションでは、上縦隔郭清の手術手技と至適剥離層を中心に論じていただく。また可能であれば縦隔鏡手術と比較した剥離層の違いも明らかにしたい。
食道アカラシアに対する外科的筋層切開術は100年の歴史があり、現在は内視鏡下でのHeller-Dor手術が標準治療として行われている。一方、2008年に考案された経口内視鏡的筋層切開術(Peroral Endoscopic Myotomy:POEM)は、国内で既に2000例以上施行され、良好な治療成績をおさめている。本セッションでは、それぞれの治療を行っている施設からの発表を募集し、今後の食道アカラシアの治療の在り方につき、前向きなディスカッションを行いたい。
超音波凝固切開装置の開発・発展とともに腹腔鏡手術が発展してきた。強力な凝固切開能力に加え、近年では先端がtaperされその剥離能力が向上したことも、手技の発展には欠かせない要因である。一方で、ミストによる腹腔鏡レンズの汚れや、切開に時間がかかる等の弱点も認められ、開腹術で一般的に使用される電気メスの、迅速かつシャープな切開・剥離操作も重要視される点である。本セッションでは、それぞれのデバイスの利点欠点をふまえた使用法の実際を提示し、安全で適切な使用法や使用場面などについてディスカッションしていただきたい。
JCOG0110の結果を受けて胃癌治療ガイドライン第5版では、上部進行胃癌で大彎に浸潤がなく、肉眼的にNo.10,11リンパ節に転移がなく、食道浸潤が3cm以内で、4型や残胃でない症例では、No.10,11リンパ節の予防的郭清のための脾摘は行わないことが推奨されている。一方、大彎に浸潤のある上部進行胃癌に対しては脾摘を伴うNo.10,11リンパ節郭清がいまだ標準術式であるが、本邦では以前より脾臓温存によるNo.10,11リンパ節郭清術式が行われており、近年ではこれを腹腔鏡下で行う手技も報告されている。そこでこのセッションでは、内視鏡外科手術における脾門郭清の適応や安全に施行するための術式のコツとピットフォールやその対処法と成績についてご討議いただきたい。
各種病態で発生する腸閉塞に対する内視鏡外科手術は、従来は腹腔内のワーキングスペースの確保の困難性や腸管浮腫による脆弱性の恐れがあることなどから禁忌とされてきた。しかし、近年では減圧法の工夫や内視鏡手術手技の進歩などから腸閉塞に対しても広く内視鏡外科手術が導入され、術後疼痛の軽減、癒着の減少など多くの利点も報告されている。ただし一方で術後の腸管損傷増加のおそれを提唱する声もある。このセッションでは各種病態からの腸閉塞に対する内視鏡外科手術の適応や導入のための工夫、手術操作のコツとピットフォール、合併症予防のための手技などの知識を共有したい。
骨盤内多臓器合併切除も腹腔鏡下に行なわれるようになってきた。ただその難度は高く、慎重な適応判断と十分な解剖知識、技術が求められる。このセッションでは、適応をどう決めるか、手術操作のコツとピットフォール、その対処法などを議論したい。
近年、腹腔鏡手術の技術の向上と安全面の確立を踏まえ、大腸癌に対する腹腔鏡手術の適応および普及度が拡がってきた。しかし、局所進行大腸癌に対する開腹手術と腹腔鏡手術の選択については、施設ごとに議論の分かれるところである。また化学療法や化学放射線療法などの術前治療の有用性が報告される中、その場合の腹腔鏡手術の選択基準も重要な問題点である。さらに直腸癌に対しては、ロボット支援手術やtaTMEなど新たな選択肢が登場する中で、それぞれのメリット、ディメリットを明らかにして、適切な治療法選択を進めていく必要がある。本セッションでは、進行直腸癌に対する開腹手術と腹腔鏡手術、さらにはロボット支援手術やtaTME法の選択基準について、治療成績に基づいた各施設の方針を発表していただき、腹腔鏡手術の適切な適応について議論を深めたい。
腹腔鏡下肝切除術の難易度は、併存肝疾患の有無、腫瘍の大きさ、個数、切除部位により異なる。2014年盛岡国際コンセンサス会議では腹腔鏡下肝切除術の至適な手術適応として、開腹肝切除術に耐えうる肝予備力で、肝前下領域に存在する単発5cm以下の腫瘍に対する肝部分切除術や肝外側区域切除術が望ましいとされ、2017年版肝癌診療ガイドラインでも採用された。一方、2016年には血行再建や胆道再建を伴わないすべての肝切除術式が保険収載され、前向き登録が義務付けられた上で、開腹肝切除術と高難度の内視鏡手術の経験を有するチームにおいて適応拡大が図られている。どのような症例は現時点では開腹肝切除としているか?手術時間の制限は設けているのか?部分切除でも何個までなら腹腔鏡下肝切除としているか?各施設におけるpureラパロ肝切除症例数のすべての肝切除症例(血行再建や胆道再建を伴わない)に対する割合の年次推移とともに示していただきたい。
膵臓の定型的切除術には、膵頭十二指腸切除術(PD)と膵体尾部切除術(DP)がある。現在、両術式ともに腹腔鏡下での施行が保険収載され、DPにおいては膵臓癌にも既に適応されている。腹腔鏡の拡大視効果は後腹膜臓器の正確な切除に効力を発揮し、膵切除術においてもその有用性を示す報告が数多く認められる。しかし、症例間の手術難度の格差は開腹術においても大きく、今後はその腹腔鏡下施行における手術難度評価と共に、症例ごとの有益度(benefit)を考慮に入れた手術適応が必要になってくるものと思われる。
本セッションでは、腹腔鏡下膵切除術と開腹膵切除術の専門的知識、技量を有するパネリストに、定型化された腹腔鏡下膵切除術の手術手技の披露、そして開腹術と比較したpros and consについてご発表いただき、会場内の参加者の方々と共に、腹腔鏡下膵切除術の今後の発展性および未来像について議論していただきたい。
近年、腹腔鏡下鼠経ヘルニア修復術は全鼠経ヘルニア手術の30%を占めるまで広く普及し、各施設で手技の定型化もなされつつある。さらに、新しい素材、形状のメッシュやカメラ、器材が開発、応用されるとともに、単孔式手術やNeedlescopic Surgeryなどの、さらなる低侵襲を目指した手術手技も広がって来ている。このセッションでは、経験豊富な施設にその工夫を動画で提示していただき、明日からの臨床に役立つ「どのような症例に対しても安全で確実なTAPP/TEPを行うためのポイント」を提示していただきたい。
「低侵襲で傷の小さな内視鏡外科手術は小児にとってこそ大きなメリットがある」という認識が浸透し、小児外科領域で内視鏡手術の適応が拡大する中、小児外科疾患の多くは年間発生数が少なく、修練を積む機会が限られている。小児外科医が技術に習熟するための教育体制をどのように築いていくかは大きな問題である。世界的なハイボリュームセンターの現況と対比させながら、各施設の取り組み、手術シミュレーターの開発や導入、集約化や施設間の連携などについて幅広く議論していただき、将来への提言を示していただきたい。
小児外科領域の呼吸器疾患は、頻度は少ないながらも先天性嚢胞性肺疾患や縦隔腫瘍に対する胸腔鏡手術の報告が増加している。成人とは異なり肋間が狭く、working spaceが小さいことなどから難易度は高い。小児外科医、呼吸器外科医はそれぞれ独自の工夫を加えながら手術を行っているが、相互間の情報を共有する場は少ない。本パネルディスカッションでは、乳幼児における肺、縦隔疾患に対する胸腔鏡手術の手術手技をビデオで提示して、手術手技を中心に呼吸器外科医と小児外科医の間で議論を深めたい。
ロボット腎部分切除(RAPN)は、縫合、切除の自由度の高さから本邦でも施行例数が激増している。これまでは通常の腹腔鏡手術では難しいため開腹手術で施行していた症例に対してもRAPNが適応されるようになっている。しかしながらT1b、腎門部型、完全埋没型、単腎症例などに対するRAPNはまだ難易度が高く、現在でもRAPNとするか開腹手術とするか、あるいは腹腔鏡下腎摘とするか、迷うことがあると思われる。本パネルディスカッションでは、本邦におけるエキスパートの先生方に上記の手術に対して、learning curve、trifectaの達成率、技術的なポイントを解説していただき、これから適応拡大において役立ていただきたいと考えている。
平成30年度より、ロボット支援根治的膀胱全摘除術(RARC)が保険適用となり、手術件数が急増することが見込まれている。RARCの最大のメリットはその低侵襲性にある。本来、全摘を要する膀胱癌は超高齢者が多く、RARCが高齢者膀胱全摘において適応拡大につながるか否かは非常に興味深い話題である。また、尿路変向を体腔内で行うか(ICUD)、小切開下で行うか(ECUD)も議論のあるところである。一方、制癌性については、局所制御やリンパ節郭清にはメリットがあるが、長期予後や体腔鏡手術特有の腫瘍播種等の頻度や予後に及ぼす影響については、いまだ明らかになっていない。RARCの標準術式を提示したうえで、諸問題についても議論し、これからRARCを始める術者にも参考になるセッションとしたい。
腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術が平成30年度より保険適用となったため、これから腹腔鏡下広汎子宮全摘術の施行が広まっていくと考えられる。一方で、腹腔鏡下広汎子宮全摘術は難度が高いため合併症などのリスクを抑えるためには手術手技への習熟が求められる。しかしながら本術式が適用される症例数はある程度限定されているため、本術式を効率よく習得するためには術式の標準化が重要な課題となっている。複雑な骨盤深部の解剖をよく理解し、適切なデバイスを用い、また必要に応じては術中に種々の検査・評価を行うことにより、系統的で安全な手術の実施が期待される。本パネルディスカッションでは来るべき腹腔鏡下広汎子宮全摘術の標準化を目指してエキスパートの先生から本術式の現状と課題などについてご解説いただき、将来への方向性を見出したい。
過去の内視鏡外科看護の実践において経験した事例(失敗例)や反省を将来の新しい体験(成功例)に活かすために実施した工夫や努力例などについて紹介していただくセッションです。テーマの範囲は、器械出し看護、外回り看護のほか看護師教育、事故防止、体温管理、体位管理、チーム医療など広い範囲といたします。
CEが内視鏡外科チームの一員として機器操作や清潔補助業務、保守管理において何ができるか? 何をすべきか!各施設における「安全性と質を高めるための取り組みや工夫」、また「次世代にどのように伝えていくか;人材育成やマインド、教育の方法」、「今後目指すべき方向性」などについて紹介いただき、参加者とともに認識の共有をはかりたい。
ご存知のように4月からロボット手術12術式が保険収載され、婦人科は良性腫瘍の子宮摘出術と子宮体癌手術が対象となっています。現在、それに向けて婦人科系の複数の学会で準備が急ピッチで進められています。よって保険収載になって約8か月後の今学会で、その検証をすることは非常に大事であり、取り組まれている施設より発表を募集します。
従来の前立腺手術に加えて2018年4月より心臓、消化器、呼吸器、婦人科領域、泌尿器の12疾患のロボット手術が新たに保険収載された。ロボット支援手術のさらなる新術式への適応拡大を目指した取り組みを紹介いただくとともに、各領域のエキスパートよりその課題を解決するために今後どのような工夫が必要かという点について議論していただきたい。
最先端テクノロジーを駆使すれば、手術はますます安全で迅速になる可能性がある。一方で、従来の安価な器具でも十分対応できる手技を、安易に高額な先進的機器・Single Use Deviceを使用して行っていないかなどの見直しも必要である。手縫い可能な手技を高価な縫合器に頼りすぎていないか。従来の器具でも安全迅速に行えていた手術を、ロボット手術の適応としていないか。このセッションでは、以上のような反省点を踏まえ、医療費高騰を防ぐべく考案された新たな機器使用方法、新たな機器開発についてご発表いただき、その有用性を議論していただきたい。
主に胃粘膜下腫瘍に対して、LECSの名称で腹腔鏡と内視鏡のコラボレーション手術が施行されるようになってきている。局所切除後の胃の変形が少ない、噴門近くの病変でも定型手術が回避できるなどの利点があり、胃癌の治療にも応用可能で今後も発展していく手技と思われる。また、LECS関連手技としてNEWSやCLEAN-NETなどの手技も広く行われている。本セッションではLECS関連手技の工夫や適応などについて広く演題を募集し、議論を深めていただきたい。
領域に関わらず、Redo surgeryでは癒着やさまざまな困難が懸念されることから内視鏡手術の適用については標準治療とは異なる決断を要する。消化器領域において各施設で経験したRedo surgeryの経験症例の手術Videoを提示していただき、適応、問題点と手術手技の工夫について議論を進めたい。
領域に関わらず、Redo surgeryでは癒着やさまざまな困難が懸念されることから内視鏡手術の適用については標準治療とは異なる決断を要する。消化器領域以外において各施設で経験したRedo surgeryの経験症例の手術Videoを提示していただき、適応、問題点と手術手技の工夫について議論を進めたい。
高齢化が進むにつれ、心臓血管・脳血管疾患のために抗血栓療法を施行されている患者が増加し、外科手術時における周術期の梗塞性合併症および出血性合併症への対策がますます重要となっている。近年、新規の抗血小板薬、抗凝固薬の利用が増加する中で、内視鏡外科手術時に何をすべきか、抗凝血作用の評価・モニタリング法、薬剤ごとの休薬手順、拮抗薬の使用など、各施設における周術期管理の戦略と経験を提示していただき、今後の管理法選択の一助となることを期待している。
平成30年度診療報酬改定にて甲状腺悪性腫瘍に対する内視鏡下甲状腺手術が保険収載され、これで保険下に良性・悪性疾患ともに内視鏡補助下甲状腺手術が可能となった。今後各施設での内視鏡手術の新規導入が予想されるが、導入から実施に向けての施設基準やその流れ、注意点、手術適応の範囲、今後の展望などについての認識を深めて共有していく。
現在、呼吸器外科領域においても胸腔鏡を安全に実施できるための技術認定制度の導入に向け準備が進められている。どのような技術認定制度が出来るかで、若手外科医の修練法や到達目標に大きく関わってくると思われる。本セッションでは、現在修練中もしくは修練を終えこれから独り立ちをしていく、次世代を担う若手外科医にとってどのような胸腔鏡安全技術認定制度が望ましいかをご発表いただきたい。
胸腔鏡手術も広く普及してきたが、施設により手技や教育理念が異なる。どの水準まで達したら胸腔鏡肺癌手術に取り組ませるのか?経験年数、開胸経験症例数については施設間で一定とは言えない。どのような教育体制を構築し指導しているか現状や工夫をご発表いただきたい。また最近のSimulatorなどのBox trainerやAnimal labをどのように利用しているかも合わせて紹介いただきたい。
低侵襲手術であるVATSからさらなる低侵襲を目指して、Uniportal VATSやNeedlescopic VATSに代表されるReduced Port VATSに取り組む施設が増えている。しかし、創数の減少や創の縮小がもたらすRisk & Benefitについての議論はあまりされていない。本セッションでは、各施設でのReduced Port VATSの実際とその短期および長期成績をご呈示頂き、Reduced Port VATSの意義についてご発表いただきたい。
消化器外科手術のほとんどの領域で、内視鏡外科手術が低侵襲治療として広く普及している。内視鏡外科手術におけるトラブルには独特のものがあり、思わぬヒヤリとする場面を経験したり、想定外の合併症に出会いうる。本ワークショップでは、各施設のヒヤリハット経験を動画を用いて提示いただき、その体験と対応策の実際を共有しながら、偶発症軽減に向けた取り組みとトラブルシューティングについての議論を深めたい。
食道癌、胃癌に対する内視鏡外科手術は急速に普及してきており、ロボット支援下手術も保険診療で行えるようになってきた。しかしながら、非常に難易度の高い手術であることに変わりはない。特に肥満症例などの患者の体格、血管の破格などによりその難易度は高くなると考えられる。本ワークショップでは、自施設の過去のデータなどから食道癌、胃癌の手術を難しくする因子、合併症が高くなる因子を患者因子を中心に明らかにし、これらに対する対策、対応を示していただきたい。
胃の消化管間質腫瘍(Gastrointestinal stromal tumor:GIST)の外科治療については、内視鏡手術の適用例が増加しているが、腹腔鏡下胃局所切除、経皮的内視鏡下胃内手術、腹腔鏡・内視鏡合同胃局所切除(Laparoscopic endoscopy cooperative surgery:LECS)などさまざまなアプローチ法の選択肢がある。各施設での実際の手術と成績を提示していただき、治療戦略と手術手技や器具の工夫について議論を進めたい。
上部胃癌に対する腹腔鏡下胃全摘術(LTG)および腹腔鏡下噴門側胃切除術(LPG)の再建法は、吻合の安全性のみならず、内ヘルニアや逆流の予防など、さまざまな工夫が必要である。これまで学会や研究会で多くの議論がなされてきたが、安全で合理的な再建法についてはまだまだ議論の余地がある。LTG後の再建では、リニアステープラーとサーキュラーステープラーのいずれを用いる方法がよいのか。LPG後の再建には食道胃吻合法やダブルトラクト法などがあるが、どの方法が安全性や機能性において優れているのか。さらに、手術支援ロボットを用いた再建についてもその長所や短所がある。このセッションでは、発表者に自施設での方法と成績を供覧いただき、討論を通して参加者が様々な再建法の利点欠点を理解し、明日からの臨床に役立てられることを目的とする。
早期胃癌に対して残胃の機能温存を目指して切除範囲を縮小した術式が広く行われるようになり、噴門側胃切除、幽門輪温存術式、迷走神経温存術式などの機能温存手術はガイドラインにも明記されている。これらの術式は機能温存によるメリットが期待されて行われている一方で、吻合部狭窄や逆流性食道炎などのデメリットが存在し、必ずしもQOL改善効果や患者満足度を得られていないとする報告もあり、術式の選択にコンセンサスを得られていない。本ワークショップでは、腹腔鏡下胃切除における機能温存手術の適応や方法およびその変遷、手術成績について提示していただき、術式選択やその意義、手技の工夫など討論していただきたい。
肥満外科治療は多くのメリットがある治療方法であり、日本でも普及し始めているが手術リスクがあることも否定できない。重症肥満患者は多くの合併疾患をもっており、特に呼吸、循環器、腎臓などが、術前より機能低下していることが多い。また、肥満手術では縫合不全、出血、狭窄、逆流性食道炎など技術的な工夫で回避できうる可能性の高い合併症も多い。このセッションでは肥満手術を行っている施設より、術前機能低下症例への手術適応や合併症を予防するための手術のコツを供覧していただき、今後肥満外科治療を行う施設での合併症予防の一助とさせていただきたい。
急性虫垂炎の治療に関してはgolden standardはなく、個人や施設の経験に基づいて治療される場合が多く、各施設、担当医により手術適応、治療・手術方法、術式が異なるのが現状である。一般には、complicated appendicitisと診断した場合には緊急手術が第一選択治療法であるが、手術方法に関しては開腹手術が選択される場合も多い。一方、最近では内視鏡手術の安全性や、膿瘍形成例では抗生剤投与に必要に応じて経皮的ドレナージを行う保存的治療、及び炎症消退後の待機的虫垂切除術(Interval Appendectomy)の有効性が報告されている。complicated appendicitisに対する治療アプローチ並びに内視鏡手術の適応、成績、有害事象について発表いただきたい。
大腸の良性疾患は、虫垂炎、憩室炎と言った急性腹症を呈するもの、直腸脱のような長い病悩期間を示すもの、炎症性腸疾患のように複雑な病態を呈するものなど、様々であり、時に手術適応や、手術時期、手術方法の決定に悩まされることがある。本ワークショップでは、保険適応内での大腸良性疾患に対する治療方針、治療方法を色々な角度から発表していただき、大腸良性疾患に対する腹腔鏡手術の新たな方向性を導いていただきたい。
穿孔性腹膜炎に対する腹腔鏡の有用性が認識され、診断および治療に広く用いられているが、敗血症と生命予後に直結することの多い下部消化管穿孔への腹腔鏡手術の適用には限界があるとされている。各施設での手術経験と治療成績、対応策、適用に対する考え方を提示していただき、下部消化管穿孔に対する腹腔鏡手術の治療戦略と手術手技について議論を進めたい。
脾彎曲部癌(横行結腸/下行結腸)に対する腹腔鏡下手術は難易度が高いと考えられている。症例数が少ないこと、さらに血管走行のvariationが多く切除・郭清範囲の決定が煩雑であることが術式の定型化には障害となっている。また、内臓脂肪量や腫瘍量によって脾彎部授動の難易度は大きく左右され、脾臓や膵臓損傷によりcriticalな合併症をきたしてしまう可能性もある。このセッションでは、リンパ節郭清範囲を決定する根拠と脾彎部授動の安全で効率的なアプローチ法を供覧していただき、本術式の定型化について討議いただきたい。
下行結腸進行癌に対する手術では、variationのある支配動静脈の同定・切離による適切な郭清、隣接臓器の授動・温存、腸管の切離吻合、適切なアプローチ法、などの克服すべき点があり、また各施設の症例数も比較的少ないため、手技の定型化が難しい領域と思われる。しかしながら、この部位こそ腹腔鏡を用いた手術のメリットがあり、さらには3D-CTによる支配血管の術前シミュレーション、術中のリンパ流・吻合部血流の可視化などにより、精緻で安全な低侵襲手術が可能であると考えられる。本ワークショップでは、下行結腸進行癌に対する腹腔鏡手術における各施設の工夫を提示していただき、問題点の集約と術式の標準化へ向けて議論を深めたい。
近年直腸癌に対する新しい内視鏡手術としてtaTMEが国内外で広く注目されている。従来にはない新たなアプローチは、直腸癌に対する根治性や機能温存の上乗せを有する可能性がある術式として期待されている。しかし本手術を行う上で従来の腹腔鏡手術にない特徴的な解剖認識は、時に本術式の安全な施行を困難にし、近隣臓器損傷のリスクがあると報告されている。本術式が持ち得る臨床的有用性を安全に提供するためには、留意すべき手術手技の徹底や安全なトレーニングシステムの確立が望まれる。
本セッションでは、①taTMEをいかに安全に行うか、そして②taTMEをいかに安全に広めるかという二つの課題を前向きに克服するための議論を行いたい。
本年Tokyo Guidelines for management of acute cholangitis and cholecystitis 2018(TG18)が発刊された。急性胆嚢炎に対してTG13では発症後72時間以内で入院後早期の手術が推奨されてきたが、Grade Iと一部のGrade IIの症例に対してであった。TG18では、手術手技や周術期管理の進歩に伴い、例えGrade IIIの症例であっても、患者の状態(Predictive factor, Charlson comorbidity index, ASA)が良好で、手術に熟練した外科医であれば手術を行なうことが可能であると推奨した。一方、無理な手術により術後成績が悪化すれば良性疾患である急性胆嚢炎の治療としては根幹に関わる問題となる。本セッションでは、いかに安全に手術ができるかをタイミングと重症度、成績について論じていただきたい。
腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術が保険収載されてから2年が経過し、そのメリットと限界が明らかになりつつある。一方、ロボット支援による同手術は依然として自費診療で、国内での経験は少ないが、精密な剥離操作や良好な縫合操作による効果が期待されている。膵頭十二指腸切除術では膵液瘻から重篤な合併症を引き起こす場合があるため、確実な膵消化管吻合が求められており、本邦では開腹手術で高精度の膵管空腸粘膜吻合が実施されてきた歴史がある。従来の腹腔鏡下手術では細径膵管に対する縫合操作の精度に限界があると考える外科医は少なくなく、再建操作を小開腹で行っている施設も多い。ここでは、従来の腹腔鏡下手術(完全腹腔鏡下および小開腹再建を含む)とロボット支援手術を比較することにより、腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術のさらなる安全性向上に向けて、わが国の外科医が進むべき方向について論じていただきたい。
腹腔鏡下膵体尾部切除は先に良性疾患、良悪性境界腫瘍とよばれる低悪性度の膵体尾部に発生した腫瘍に対して保険収載され、各施設で順次導入されてきた。そのなかでも低悪性度疾患として最も頻度の高いIPMNに対して各施設が経験例を積み重ねつつあるのが現状である。IPMNに対する各施設の適応・術式・治療成績を報告いただき議論を深めたい。
TAPP/TEPは現在広く普及しているが、両術式共に選択している施設は少ない。各施設におけるTAPP/TEPの手技選択の明確な根拠と理由を述べていただき、TAPP/TEPの術式毎に長所と短所を明確にし、手術時の鼠径部解剖で重要視しているランドマークを提示した教育的手術手技を発表していただきたい。さらに、各施設の詳細な手術成績と若手教育の問題点についての報告もお願いしたい。到達法の異なるTAPP/TEPにおける解剖学的ランドマークや長所・短所などの知識を共有し、これからの内視鏡外科ヘルニア修復術の教育の問題点を考えるプログラムとしたい。
近年、腹腔鏡下腹壁ヘルニア修復術が普及してきたが、その適応やヘルニア門閉鎖(IPOM+)に関しては議論がある。このセッションでは、剣状突起や恥骨に近い、あるいは側腹部の腹壁ヘルニア対するIPOMの適応、さらには、漿液腫やメッシュバルジングの予防目的のIPOM+の可否などについて発表いただきたい。
先天性胆道拡張症手術は2016年に腹腔鏡手術が保険収載されて以降、小児外科領域でも多くの施設が適用を進めている。本手術には、術野セッティング・膵内胆管の処理法・Roux-Y脚の作成法など多くのポイントがあるが、肝管-空腸吻合、特に5mm以下の細い肝管の吻合再建については、狭窄やVariationによる困難例もあり、開腹移行を余儀なくされる症例も認められる。本ワークショップでは、各施設での細径肝管の再建法の手術手技とその工夫を詳細なVideoで提示していただき、そのポイントを議論して手術手技の進歩を図りたい。小児外科のみでなく成人外科からの積極的な応募もお願いしたい。
ヒルシュスプルング病の手術は1990年台半ばに始まった腹腔鏡手術の導入以降、大変貌を遂げてきたが、今なおSwenson、Duhamel、Soaveという3大基本術式の考え方は重要である。近年、経肛門式・腹腔鏡下など、同じ名称のアプローチ法でも各施設のポリシーが大きく異なっている状況があり、このあたりで現状を見渡し、見直す時期に来ていると考えられる。本ワークショップでは、生検法、剥離開始や吻合のライン、腹腔鏡と経肛門・体外操作の分担の詳細を含めた各施設での術式とそのポリシーを提示していただき、本症の根治術法を今後どのように伝えていくかの観点も踏まえて議論したい。
小児外科医の扱う手術は発生数が少ないものが多く、ひとりの術者が多数例を経験して習熟を図ることが困難な現状がある。低侵襲性を目指す内視鏡外科でも、思わぬヒヤリとする場面を経験したり、想定外の合併症に出会いうるが、これらの対応策を経験として学ぶことは回避したいものである。本ワークショップでは動画を中心に、各施設のヒヤリ・ハット経験を提示いただき、その体験と対応策の実際を共有させていただきたい。
腹腔鏡下腎盂形成術は腎盂尿管移行部閉塞に対する低侵襲外科治療法として徐々に普及し、2015年の段階で累計2000例を超え、ワーキングスペースの狭い小児での適応例も年々増加している。本ワークショップでは、泌尿器科、小児外科のエキスパートにより、腎盂尿管移行部閉塞に対する腹腔鏡手術における経験とそれに基づく各施設の工夫を提示していただき、標準化やさらなる高度な術式への取り組みについての議論を進めたい。
準備中。
腹腔鏡下副腎摘除術は、副腎腫瘍に対する低侵襲手術として広く普及・定着している術式である。しかし、腫瘍のサイズ、性状、周囲の癒着の程度、左右差、患者の体型など、症例によって難易度が大きく異なることが少なくない。また、副腎腫瘍のほとんどが良性疾患であるため、単孔式手術のようにポート数を減らし整容性を改善する術式や、副腎静脈サンプリングなど診断技術の発展に伴う副腎部分切除術の適応と手技など、さらに発展した術式について議論を要する課題が多い。腹腔鏡下副腎摘除術に対する術式の多様性が増している中で、本セッションでは、難易度の高い症例の経験とそれに基づく工夫、さらなる高度な術式への取り組みについて発表していただく。本セッションを通して、術式への理解をさらに深め、“一歩進んだ副腎手術”としていくことの一助としたい。
異所性妊娠の発生頻度は生殖補助技術の普及などにより増加傾向にあるといわれ、低侵襲である腹腔鏡下手術の需要は年々高まってきている。腹腔鏡下手術の適応に関してはショック症例を除いた循環状態が比較的安定している症例とされているが、高度肥満や癒着のほか、発生部位による腹腔鏡下手術の困難例も見られる。高難度症例に対する手術手技と対応策を提示していただき、各施設における適応の選択、手術のための準備、腹腔内出血の扱いなどを含めて議論を進めたい。
内視鏡外科手術においては、その特殊性より、機器点検や新規機器の選定・導入などの機器管理、体位におけるトラブル予防、偶発症への対処、教育など安全管理を中心に内視鏡外科チームが協働でおこなうトータルマネジメントが必要である。このセッションにおいては、各施設でどのような体制で取り組みを行っているかをご発表いただき、安全で質の高い内視鏡外科手術を行うためには、どのようにマネジメントを行うべきかを検討したい。
内視鏡外科手術メディカルスタッフマニュアルは初版から5年が経過し、その間に様々な医療機器も刷新されている。新しい機器を含めて常にその取り扱い法に精通しメディカルチームの連携を行うことが、内視鏡手術を円滑で安全なものに導く。今回、新たにロボットや新しいエネルギーデバイスなどを加えた新版を発刊するにあたり、その改定情報を紹介する。
2010年以後、前立腺がんと腎臓がんのみに保険が適用されていた状況から、本年より心臓、呼吸器、食道、胃、大腸、婦人科、泌尿器などの12疾患で、新たにロボット支援下内視鏡手術の保険収載拡大が実現した。手術に際し、これまでとは異なった術前・術後の機器管理や保守点検、配線や電源、清潔野の確保への配慮が重要になる。また手術時の安全な動作確認などこれまでの手術には無い業務が加わっている。新たな収載術式に向けての各施設の取り組みを呈示していただき、これらを踏まえて看護師、CE、メディカルチームで総合的な議論を行っていただきたい。
縫合結紮・手術ドライボックス・デバイス使用・機器点検・デバイス機器点検
月日 | 時間 | 内容 | 講師 |
---|---|---|---|
12/6 (木) |
11:00-11:45 | あなたが主役!医師のための知的財産セミナー ~医工連携プロジェクトにおける医師の役割と知財、特許検索も実体験!~ |
AMED 岩谷部長 INPIT 清水様 フォロー:福岡県知財総合支援窓口(1名) |
15:45-16:30 | 同上セミナー | 同上 | |
16:30-17:30 | 知財相談 | 福岡県知財総合支援窓口(1名) | |
12/7 (金) |
11:00-11:45 | あなたが主役!医師のための知的財産セミナー ~医工連携プロジェクトにおける医師の役割と知財、特許検索も実体験!~ |
AMED 岩谷部長 INPIT 清水様 フォロー:福岡県知財総合支援窓口(1名) |
14:00-14:45 | 同上セミナー | 同上 | |
15:00-16:00 | 知財相談 | 福岡県知財総合支援窓口(1名) |
■定員 | 1回あたり30名(事前ご登録ください。当日受付も可。) |
---|---|
■開催場所 | セミナー)福岡サンパレスホテル&ホール 4階 第3会議室 展示ブース)福岡国際会議場 5階 ロビー |
■参加費 | 無料 |
© The 31st Annual Meeting of the Japan Society for Endoscopic Surgery.