日本薬理学会理事長 赤池 昭紀
日本薬理学会企画教育委員長 池谷 裕二
日本薬理学会は、第90回日本薬理学会年会から看護職を対象とした『看護薬理学教育セミナー』をスタートさせます。本セミナー開催にあたり、日本薬理学会を代表して、その趣旨をご説明申し上げます。
1990年代後半から看護系大学の設置が急速に進み、2016年度には日本看護系大学協議会 (JANPU: Japan Association of Nursing Programs in Universities)会員校は254校、入学定員21,394に達しており、今後もさらに増加する見込みです。
看護における薬理学・臨床薬理学教育は、看護職の専門化・多様化・高度化に伴い、学部教育のみならず、大学院教育や継続教育においても重視されており、認定看護師教育、専門看護師教育、さらには特定行為に係る看護行為の研修においても、必須あるいは選択科目となっています。それは、与薬の実践者である看護職者には、患者を守る最後の砦として、薬物治療に関するより高度で幅広い知識が求められているからと言えます。
このような社会的背景を鑑み、日本薬理学会は、看護職者を対象として薬理学の継続教育セミナーを提供することとしました。この『看護薬理学教育セミナー』では、受講証明書を発行し、看護職者の皆様の今後のキャリアアップに活かせるように致します。将来的には、看護職者の中から、薬理学の教育研究者としてご活躍いただけるような人材の育成を視野に入れた資格認定制度も検討中です。
『看護薬理学教育セミナー』は、まだ生まれたばかりですが、これから看護の皆さんと共に、成長発展していくことを心から願っています。
よろしくお願い致します。
3月17日(金)14:20〜15:50
長崎ブリックホール 3F 会議室4・5(E会場)
座長:石井 邦明先生(山形大学医学部薬理学 教授) 、石毛 久美子先生(日本大学薬学部薬理学 教授)
武田 泰生 先生(鹿児島大学附属病院薬剤部長・教授)
「薬理学の知識をいかに医薬品適正使用につなげるか -看護師への期待と協働-」
上園 保仁 先生(国立がん研究センター研究所がん患者病態生理研究分野 分野長、国立がん研究センター先端医療開発センター支持療法開発分野 分野長)
「がん患者のQOLを向上させる鎮痛薬および漢方薬の薬理作用に基づく処方選択
-看護師の視点(気づき)が緩和ケアを変える-」